
クシシュトフ・キェシロフスキ監督の代表作『デカローグ』が、新装版Blu-rayとして2026年9月25日に再リリースされる。発売元はアイ・ヴィー・シー。
『デカローグ』は、旧約聖書の十戒をモチーフに、ワルシャワの巨大団地に暮らす人々の人生模様を10話にわたって描いた連作集である。本編の総時間は563分(約9時間23分)に及び、ディスク4枚に収録される。
もともとは1988年から89年にかけてポーランドのテレビドラマとして製作された作品だが、その完成度の高さが話題を呼び、1989年のヴェネチア国際映画祭で上映されたことをきっかけに世界的な評価を獲得、劇場公開に至った経緯を持つ。名監督によるテレビ発の作品で映画史に残るような傑作として知られる作品としてまず挙がるドラマシリーズで、似たような作品にはライナー・ヴェルナー・ファスビンダー『ベルリン・アレクサンダー広場』やラース・フォン・トリアー『キングダム』などがある。端的に言えば、これらの作品同様、映画好きなら必見のドラマシリーズだ。
作品を貫く十戒というモチーフのもと、各話には異なる登場人物と物語が配されており、第1話「ある運命に関する物語」から第10話「ある希望に関する物語」まで、いずれも一組のアパートを舞台にした市井の人々の倫理的な葛藤が静かに描かれる。
受賞歴も豊富で、1988年ヨーロッパ映画祭グランプリ、同年ベルリン国際映画祭フェリックス賞、モントリオール世界映画祭監督部門批評家賞、1989年サン・セバスチャン国際映画祭審査員特別賞・批評家賞、同年ヴェネチア国際映画祭国際批評家協会連盟賞など、国際的な映画祭で数多くの評価を得ている。2007年にはヨーロッパ映画賞作品賞にもノミネートされた。
スタンリー・キューブリックやエドワード・ヤン、侯孝賢といった映画史に残る傑作を数多く手掛けてきた名監督たちからも賞賛の声が寄せられている。『トリコロール』三部作と並び、キェシロフスキ監督の代表作として位置づけられる一本である。
この作品は2020年にアイヴィーシーから発売された。だが数年後には廃盤になっていてプレミアがついていた。購入するかずっと迷っている間にもとの倍くらいの値段でオークションに出品されだした。なんでこんな映画史に残る重要作のブルーレイが手に入れづらい上にサブスクで見れないんだと私はずっと思っていた。だが今回再販されることが決定したうえ、かなりリーズナブルな料金で手に入れることができるようだ。
今回の新装版には作品解説ブックレットが封入される。なお、これまでIVCから発売されていた「初期作品集収録特別盤」(Blu-ray4枚+特典DVD3枚、キェシロフスキの初期TVドキュメンタリー作品を収録)とは仕様が異なり、今回の新装版は本編4枚組での発売となる。
初期TVドキュメンタリーをプレミア料金を支払ってでもみたいという方だと前のバージョンを手に入れたほうがいいのかもしれないが、ほとんどの方はこのブルーレイボックスで事足りるのではないかと思う。初期TVドキュメンタリーは再販されるかもしれないし、何より新装版のほうが圧倒的に安い。キェシロフスキの代表作だけ一旦早急に見ておきたいという方は特にこのブルーレイを買って損はないだろう。
なかなかサブスクで配信されないこの作品。視聴が難しい作品だからこそ、パッケージとして手元に置く価値がある。時間があるときに一本一本見進めていくのもいいかもしれない。


