
シネマート新宿のオールナイト上映に行ってきたのでそのレビューを書きます。
「オールナイト上映」という上映形式があるものの、地方に住んでいる人にはほとんど馴染みがなく、都内に住んでいたとしても映画をたまに観るくらいの人にとっては知らないのではないでしょうか。
名前からして、深夜に映画館に集まって、朝まで映画を見続ける……ということはわかりますが、実際のところどうなのか。今回私は東京に行ったときに実際に体験してみました。
結論から言うと、想像以上に濃い時間で、一度体験すると絶対に次東京に行ったときも行こうと思うような、そんなイベントでした。今回の記事では実際にオールナイト上映に参加してきたので、その様子をレポートしつつ、基本情報や持ち物、メリット・デメリットをまとめます。
オールナイト上映とは?基本情報
定義
オールナイト上映とは、映画館が夜通しで複数の作品を上映するイベント上映のことです。
多くの場合、23時〜24時ごろに開場・上映開始し、休憩を挟みながら3〜4本の映画を連続で上映、終演は日の出前後というケースが多いです。
深夜営業のように単に閉館時間が遅いだけの上映とは違い、あらかじめ決められたラインナップを朝まで観る一回限りのプログラムであることがポイントです。
多くの回では「○○監督特集」のようにテーマが設定されており、普段はスクリーンで観る機会の少ない作品や、自分では選ばないようなジャンルの作品と出会える場にもなっています。旧作映画が多いですが、なかなかスクリーンで観ることができないような作品もラインナップに加わることが多いです。また、アニメの一挙上映なども最近だとよくあるようです。
毎週のように定期開催している劇場は多くありませんが、池袋の新文芸坐のように隔週で実施している映画館もあれば、不定期に特集を組んで開催する劇場もあります。
どんな劇場でやっている?
開催劇場は、圧倒的に東京に集中しています。定期開催している新文芸坐(池袋)をはじめ、シネマート新宿や目黒シネマなど、都内のミニシアターで幅広く実施されており、選択肢の多さは他エリアとは一線を画します。
一方で、頻度こそ少ないものの、関西のミニシアターや広島の八丁座など、地方の劇場でも不定期にオールナイト上映が組まれることがあります。地元でこうしたイベントに出会えるのは貴重な機会と言えそうです。
また近年は、シネコンならではのラグジュアリーなオールナイト企画も目立ちます。
たとえば109シネマズ大阪エキスポシティでは、日本国内でも数少ないIMAX®レーザー/GTテクノロジー導入館という特性を活かし、『インターステラー』×『プロジェクト・ヘイル・メアリー』のような一挙オールナイト上映を実施。
同じく109シネマズプレミアム新宿でも、『ダークナイト』×『ダークナイト ライジング』のオールナイト上映のような特別企画が組まれています。
単なるミニシアターの深夜興行という枠を超えて、最新設備で非日常を味わえるイベントへと広がりを見せているのが、ここ最近のオールナイト上映の特徴と言えそうです。
料金相場・開催頻度・チケットの取り方
まず、ミニシアター系のオールナイト上映は3,000円前後が相場です。
今回参加したシネマート新宿の3本立てをはじめ、この価格帯が最も一般的と言えます。
一方、シネコンのラグジュアリーなオールナイト企画になると、それよりも高額になります。
実際に調べてみたところ、109シネマズ大阪エキスポシティのIMAX®レーザー/GTテクノロジーによる一挙オールナイト上映は、料金が4,600円均一でした。
日本最大級のIMAXスクリーンで2本立てを楽しめることを考えると、これでも破格と言えるでしょう。
また、東京最高峰の高級映画館ともいえる、109シネマズプレミアム新宿でも何度か行われていて、過去に実施された『ダークナイト』『ダークナイト ライジング』のオールナイト上映(2025年9月・「バットマンの日」記念の特別企画)は、CLASS Sが8,800円、CLASS Aが6,600円という価格設定でした。
坂本龍一氏監修の音響システムや、一般的なシネコンの約2.3倍という大型プレミアムシートなど、通常興行でもワンランク上の設備を誇る劇場だけに、この価格でも十分納得感のある内容と言えそうです。
またアニメ作品のオールナイト上映も人気のジャンルで、立川シネマシティの〔月イチアニオール〕では一般3,500円(会員料金3,000円)、シネマート新宿でのアニメ全話一挙上映イベントもおおむね3,500〜3,850円均一という価格帯です。
こちらはミニシアター系の映画オールナイトとほぼ同じ水準で、気軽に参加しやすい価格設定になっています。
どんな作品がラインナップされる?
テーマ性のある組み合わせが多い
オールナイト上映の多くは、単に人気作を並べるのではなく、テーマ性を持ったキュレーションで組まれています。
監督特集、俳優特集、シリーズもの一挙上映のようにジャンルを軸にする場合もあれば、「なかなか劇場で観る機会のないカルト映画」のように、切り口そのものがテーマになっていることも珍しくありません。
定期開催している劇場では、こうした企画が回を重ねるごとにファンの間で語り草になり、次のラインナップへの期待値を高めていく構造になっているようです。
今回参加した回のラインナップ
今回参加したのは、シネマート新宿が不定期に開催している「コケティッシュゾーン」という企画枠の派生イベント「コケティッシュナイト」でした。
「コケティッシュゾーン」自体が、めったに劇場のスクリーンでは観られない作品を上映するというコンセプトの企画で、今回はその過去3回の中から特に反響の大きかった3作品――『死霊のはらわた』『ピンク・フラミンゴ』『ソドムの市』を集めたスペシャル版という位置づけでした。
『死霊のはらわた』はサム・ライミの長編監督デビュー作で、山奥の小屋を舞台にしたホラーの金字塔。
『ピンク・フラミンゴ』はジョン・ウォーターズ監督によるブラックコメディで、悪趣味描写がひたすら続くカルト映画です。
そして『ソドムの市』はピエル・パオロ・パゾリーニ監督の遺作で、権力と暴力の極限を描いた問題作。史上最も胸糞悪い映画として選ばれることが多い作品です。
3本とも「観る人を選ぶ」タイプの作品です。前2本は昔DVDを借りたり配信で見たことがありましたが、『ソドムの市』は見たことがありませんでした。私はこんな機会がない限りこの作品を観ることはないだろうと思い、福岡からこの作品を見に行こうと思い、参加してきました。
実際に行ってみたレポートⅠ

開場前まで
当初は北千住で21時半ころに終わる映画を見てから向かう予定でした。
しかしギリギリの到着だと新宿で迷ったときに間に合わないかもしれないと思い、予定を変更。109シネマズプレミアム新宿で映画を見ることにしました。
109シネマズプレミアム新宿を出たのが21時すぎ。そこから会場まで歩いて向かいましたが、あいにくの土砂降り。びしょ濡れになりながらの移動でした。
映画館が入っているビルの前に着くと、すでに人が多く集まっていました。
おそらく映画を見に来て待ち合わせをしている人たちでしょう。館内に入るとかなりの賑わいで、エレベーターからは発券の行列ができていました。早めに向かっておいて正解でした。
上映
本編がスタート。大スクリーンで『死霊のはらわた』を見つめます。メインのおまけのような感覚で見ていましたが、こんな映画だったっけ?と思いながら見ました。自分の記憶よりもカメラワークが面白くて、終盤の映像は無茶苦茶。想定よりも面白かったです。
1本目が終わると休憩が入り、「次の上映から見られるという方もいらっしゃいます。席の移動はご遠慮ください」というアナウンスがありました。つまり、途中から入場する人もいるということで、最悪遅刻してもこういうふうに見ればよかったということ。なので北千住の映画見といたほうがよかったのかなとすこし思ったのですが、『死霊のはらわた』をスクリーンで見られたのは貴重な機会だったので、料金も同じなので早めに入っていて良かったと思います。
続けて『ピンク・フラミンゴ』を鑑賞。やばすぎました。これはスクリーンで見たほうがいい。家だとスマホを見てしまうような退屈なシーンのあとに最悪な地獄のシーンがあって体感時間が倍増。非常に映画館で観ることを意識した映画だと感じましたね笑
再び休憩をはさみ、最後は『ソドムの市』。こちらもかなりやばい内容でしたが、これに関しては想定通り。途中で寝てしまってもいいかと思いながら見ていましたが、結局一睡もすることなく最後までちゃんと見ました。
結果として、3本を一睡もせずに見きることができました。朝5時前にシネマート新宿を出て一旦駅の方向へと向いました。最悪な映画を見たあとの新宿の朝は夜も雨も空けていてのどかでした。
実際に行ってみたレポートⅡ(映画終了後)
始発から朝食まで
駅についたのは5時前ですが、この時間だと電車はすでに動いています。朝食と休憩を兼ねて三鷹のシズラーに行くことにし、そのまま三鷹へ向かいました。
シズラーの開店は7時。1時間半ほど時間があったので、まずは三鷹駅のベンチで30分ほど座って過ごしました。その後、井の頭恩賜公園の方面に向かって歩いてみることに。途中でぶらぶらと寄り道をしていると、公園に着くまでもなく、ちょうどシズラーが開く10分前に到着できそうなタイミングになったので、そのままお店に向かいました。

店の前で開店を待ち、朝食をとりながらゆっくり過ごしました。90分ほど滞在したところでうとうとし始めたため、店を出ることに。
新宿での時間つぶし、そして仮眠
そこから新宿へ移動。チェックイン開始の12時まで時間があったので、伊勢丹や紀伊國屋書店をまわって過ごしました。
今回泊まったのは「安心お宿」。チェックインが12時からと早めで、昼寝ができそうだったので予約。
というのも、17時から高田馬場でトークイベント・サイン会に参加する予定があり、それまでに少しでも仮眠を取りたかったからです。
12時にチェックインしてからはそこのラウンジでゆっくり過ごしましたが、カプセルはまだ使えるタイミングではなかったため、しっかりとは眠れませんでした。
それでも、サイン会の最中にうとうとすることはなかったので、最低限の仮眠は取れていたのだと思います。サイン会に参加したあとはカプセルホテルに移動し、晩ごはんを済ませてすぐに就寝しました。
行く前に知っておきたい注意点
- 作品への熱量にもよりますが、前日はしっかり寝ておいたほうがいいです。
- 私含め寝落ちはしていいというスタンスで見ている人は結構いるし、新文芸坐などの劇場もそうアナウンスしているので、しんどかったら全然寝ていいと思います。
- 翌日の予定はなるべく入れないほうが無難です。今回参加したサイン会はこの日限定だったので入れましたが、14時からの回はさすがにきつそうだったので避け、17時からの回にしました。
- 電車での移動時間を仮眠にあてるのもひとつの手です。日曜以降東京とは別のところを観光したいという人は、土日限定のお得な切符を使って、高崎・宇都宮方面などにグリーン車で移動すれば、仮眠と移動を同時に済ませられて効率的かもしれません。
- 絶対に必要な特別な持ち物は、実はそこまでありませんでした。普段通りの服装で問題なく過ごせました。
- マナー面についても、通常の映画館鑑賞と同じ最低限の配慮で特に問題ありませんでした。
オールナイト上映のメリット・デメリット
メリット
まず驚くのが料金の安さです。土曜の夜を3000円ほどで過ごせるというのは、ネットカフェで一晩過ごすのと同じくらいの価格帯。
しかもネットカフェは土曜の夜だと予約が取りづらいこともあります。その間に3本、しかもスクリーンで見る機会がなかなかない作品を鑑賞できるので、コストパフォーマンスは非常に高いと感じました。
正直、あまり関心のない作品――たとえば知らないアニメ作品のオールナイト上映であっても、行ってみる価値はあるかもしれないと思っています。
土曜の夜を低価格で過ごす手段として優れているうえ、思わぬ作品との出会いもあるかもしれない。次から東京に行く際は必ずオールナイト上映をやっていないかチェックしようと決めました。
デメリット
体力の使い方には個人差があると思いますが、オールナイト上映がよく行われる土曜日の翌日、つまり日曜日は「基本的に何もできない」という前提で旅程を組む必要があります。
仮に日曜にビジネスホテルへ泊まるとしても、チェックインできる15時までの時間がかなり長く感じられます。
今回泊まった安心お宿は12時からチェックインできるという強みがありましたが、それでもチェックインまでの時間は正直退屈でした。
行きたい場所はたくさんあるのに、寝ないと体がもたないので、結局あまり行動できませんでした。
まとめ:こんな人におすすめ
オールナイト上映は、開催頻度で見ると圧倒的に東京が中心です。
土曜、場合によっては金曜に開催されることが多く、シネマート新宿のように定期的に企画枠を持つ劇場もあれば、大阪や広島の八丁座のように、頻度は少ないものの地方のミニシアターで不定期に組まれることもあります。
価格帯にも幅があり、今回参加したようなミニシアター系の3,000円前後から、109シネマズ大阪エキスポシティのIMAX®レーザーや109シネマズプレミアム新宿のようなシネコンのラグジュアリー企画になると6,000円〜8,000円台まで上がります。
値段だけを見ると差は大きいですが、それぞれの設備や体験の質を考えると、どちらも十分に納得感のある価格というか、それでもコスパは凄まじくいいと感じました。アニメ作品のオールナイト上映も含めれば、選択肢はかなり幅広いと言えそうです。
会場となる映画館の近くに住んでいる人であれば、終演後にそのまま家に帰って寝られる状態なので、気になる作品があればぜひ見に行くべきだと思います。
また、旅行で東京に来る映画好きの方であれば、なおさら一度は体験してみる価値があります。翌日の予定は多少狂うものの、それを差し引いても行く価値は十分にあります。
私自身、今後東京を訪れる際は、土曜の夜をネットカフェやその他の格安宿泊手段で過ごすのではなく、オールナイト上映の情報をリサーチすることに決めました。土曜の夜は一番ホテルが高くネットカフェなどの予約がとれません。
ネットカフェで泊まろうにも3000円程度はかかります。なので私はこれから、土日に東京で過ごす時はオールナイトの上映会に参加しようと決めましたし、オールナイト上映会が発表されたときにそれメインで旅程を組もうと思いました。
ミニシアターの企画枠から、シネコンの特別上映、お目当てのアニメの一挙放送まで、価格も体験も選び放題なのは、東京ならではの贅沢だと思います。

